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2017年6月10日土曜日

日光清風塾塾長講話会第56回、57回、58回(平成29年3月、4月、5月)分の要旨



56回塾長講話会 平成29326日 「東アジア貿易圏は生まれるか(RCEP)」

質問)TPPRCEPの違いは?TPP参加は日本の農業をダメにしないか?

     TPPは環太平洋先進国の自由貿易圏で自由化の程度が高い。ここには中国は入れない。中国抜きの経済圏構想で最初はシンガポール、オーストラリアなどが推進したもの。

RCEPは中国等途上国を含み、市場の開放度が低い。ここにはアメリカは入らない。ASEAN+3の協定作りを中国が言い出したが、日本がそこにインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えてASEAN+6を提唱して中国をけん制。水面下交渉で中国は日本の提案に合意。中国はアメリカ抜きの協定を作るのが得策と考えたようだ。

アメリカだけへの依存は危ないと考える日本はアメリカと中国双方と仲良くやろうとする戦略。
RCEP交渉は日本と中国の綱引き。著作権保護を強化すべし、国営企業を自由化すべしと日本は主張。RCEPは今年中に合意することを目標。

     ②TPPでは農業の自由化も進むが、日本の農業はまだ相当程度守られている。いずれにしても産業全体の自由化を進め貿易を拡大することが日本経済のために重要だ。農業については日本の得意とする品質向上、食の安全向上に努め、攻めの農業を目指すべきだ。 

そこで、日光でも近隣諸国との交流を推進するため、10月28日、29日にASEAN以外のRCEP諸国、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、の大使を招聘する企画案を市に提言。日光を東アジア諸国交流の一つの拠点都市として交流を盛り上げて行くべきだ。

57回塾長講話会 平成29430「北朝鮮の核問題―我々の生活にどう影響するか」

北朝鮮の核開発を殆ど全ての国が止めさせたいと考えているが、無理だろう。核保有を認めるしかないのではないか。実際問題としてパキスタン、インド、イスラエルと同じようになるだろう。北を干上がらせるまで制裁を強化すれば北を暴走させることになろう。北への軍事攻撃は大戦争を引き起こすことになる。第三次世界大戦に至るかもしれない。

北朝鮮の問題で一番悩ましいのは中国。中国の制裁は条件付き。アメリカが北と交渉をやり、北の体制を認めるべきだとの考え。中国の北朝鮮対策が成功すれば、今度はアメリカの力が低下、アジアの問題は中国の支配するところとなろう。

北朝鮮への軍事行動が起こるかどうかで経済にも大きな影響。株式市場が軍事衝突の可能性があると判断すれば、株価は下がっていく。その可能性がないと判断すれば株価は上がっていくだろう。これは我々の経済活動に直接影響するが、株式市場を見て行けば軍事衝突の可能性を読み解く一助になろう。

58回講話会 平成29528「中国の急速な発展を目の当たりにして考える」


5月上旬に杭州市の浙江伝媒学院と北京市の中国人民大学大学院で講演したことに触れ、特に北京での見聞を踏まえて中国の急速な変化を分析。 

7年振りの北京は美しくなっていた。空は青く、空気も良くなり、高速道路の分離帯には薔薇の花が埋め尽くされていた。北京の空気汚染を減らし、また美しい都市にするために、市の人口を2割減らす計画があるそうだ。そのために農民工の多くを故郷に返す計画だ。今や地方の経済成長率の方が高いので、不満が爆発するまでには至らないだろうと見られている。折しも、514日から3日間、中国主催で最大の国際会議「一帯一路」会議が開催されたところで、北京が綺麗にされていたのでもあろうが、いずれにしても大きな変化が起きている。アジアインフラ投資銀行AIIB1000億ドルの資金でアジアから欧州に至る経済圏、一帯一路の建設のためインフラ整備をやるという大構想に、日本も参加する方向が出て来た。どんどん発展して行く中国と上手に付き合って、日本が活性化する方法を模索すべきである。

また、コンピューター、スマホの活用による中国の変化も急速に進んでいる。半年前に、スマホを使って支払いをする貸自転車が始まったが、今度行くとこれが中国中に広まっているようでその変化に驚いた。今や、支払いのほとんどがスマホを使って行われているので、中国人は現金を持ち歩かなくなったそうだ。1年前まで私はスリに注意するようにと言われていたが、今やスリも激減したそうだ。また、インターネット販売が急速に拡大。これを扱う最大手アリババが5億人の信用データを持ち誰でもそれを知ることができるので、不正販売も非常に少ない由。さらに、各国がしのぎを削っているAI人工頭脳の開発でも中国は莫大なデータを収集できるので先行する可能性がある。
このような中国に対抗するためには我が国は教育の強化が急務。官民ともにコンピューターの活用を一層進めるべし。また、そのためにも英語力の強化が重要だ。因みに中国の学生は日本の学生より英語力がかなり優れている。

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