7月26日(日)令和8年度総会及び第137回講話会;「急に具合が悪くなる」
今回の総会は会員の層に新しい風が入ってきたことから、例年にならって準備された総会資料に基づき恙なく進行されたものの雰囲気が何か刷新されたものに感じた。インターミッションでは1年前に立ち上げた合唱隊の出番を作り、8名(男性4、女性4)が真由美先生の指揮の下、『オーシャンゼリゼ』をフランス語のフレイズを交えて発表。2曲目は『青い山脈』を全員で。当合唱の正体というか目指すところ(国際色のある歌をレパートリーに)、音楽健康法指導士でもある先生のユーモアのあるトークのお陰で15分のエンターテイメントが達成出来た。さて、講話会の方は素晴らしいものとなった。今の話題作となってい【急に具合が悪くなる】を取り上げたことが大成功。映画を実際見た後の感想は既に前回のブログに書いているが、今回はこの講話会のために今朝読み上げた二人の女性の往復書簡集が頭から離れない。もしかしたら、この書簡集について5分でプレゼンをするはめになりそうだったことから、前日になって読み始めたものの、速読というわけにはいかない本となった。映画はhumanitudeがキーワード(人間らしい介護技法)となっているがこの映画の原点とされる2人の女性学者先生の【急に具合が悪くなる】往復書簡集(晶文社)は「人生いかに生きるか、いかに死に立ち向かうか」という重くて深いテーマのやりとり。2人の深い洞察、思考のやりとりに圧倒された。哲学者の宮野真生子博士(がん患者で医師から、急に具合が悪くなるかも知れない、と宣告されたことがこの書簡集のスタートなっていて文化人類学者の磯野真穂との往復書簡10便だが実に胸を打つ内容。2人は知り合って9カ月弱。この書簡は最後の2カ月間のもの。ハイデッガーの言う【死はいつか来る しかし今ではない】がまさに【死は今ここにきている】という段階で2019年4月27日にスタートし、【癌をいかに捉えるか】と【癌をかかえて生きる事の不確定性リスクの問題】を磯野さんと専門的に深めて見ようとという学問的野心から宮野さんが提案している。最後に見える風景がその先の始まりに充ちた世界の広がりになっていることを祈りながら。宮野さんの最後のメッセージは【「何て世界は素晴らしいのだろう。」と私はその「始まり」を前にして愛おしさを感じます。これが、いま私が辿り着いた結論です。】2019年7月1日。実際に宮野さんが亡くなったのはこの数日後である。偶然にも私達がこの映画を見たのが2026年7月5日。7年前の出来事。磯野さんの言い出したラインもキーワード。出発点から目的地にラインを引き、そこを徒歩で進む。ライン上でいろいろな偶然、景色と出会い新しい未来の世界に向かい、新しい世界を紡ぐ。新しい始まりとなり遠い未来に繋がる。そこには怖さを乗り越えた希望があり、祈りがある。書簡集では介護の話は議論されていない。映画では人間的な寄り添う介護。人間の尊厳性は最後まで大事にする介護の技法がテーマになっているが、その先には書簡集から見える人生の生き方、いかに死に立ち向かうかという深い思想が見え、考えさせられるものである。
会場からはいろいろなコメントが出た。humanitudeは実は日本にも導入されつつあり、研究されてきているという。実際に認知症の親を介護した経験も。現場と人間の尊厳云々は頭でわかっていても実に難しい問題であること。肉親であるからこそ葛藤も大きい。講話会の後で、フランスからhumanitudeを実践する専門家の経験、日本での指導の様子などが撮られた動画が発信されてきた。今日のテーマを取り上げて大成功だったと思う。





