第77回 日光清風塾講話会要旨 「日中協力発展の可能性を探ろう」令和元年8月25日(日)
今年初めに講話会で米中の経済摩擦、北朝鮮問題、ヨーロッパの分裂など世界大転換の時期到来を予測したが、世界が分裂傾向になり、状況は深刻化している。中国の米国に対する厳しさ以上に、米国の中国に対する厳しさは強い。その状況下にあって中国の対日感情が良くなってきている。日本と中国が一致する政策、それは自由貿易政策であり、双方にとって経済発展の土台となるもの。このままだと中国は西側から孤立する懸念も。中国は自由貿易で一致する日本と手を組むのが賢明。仲良くしたいメッセージが出てきている。昨年5月には李首相が来日、日本政府は北海道でおもてなしをし、友好ムードを産んだ。昨年10月には安倍総理が訪中、親日ムードは更に前進。今年秋の即位の礼には習主席が最も信頼をおく王副主席を送り込んでくる。そして、2020年、習近平主席の日本公式訪問が決まっている。
そこで今回は一帯一路に焦点を置いて、日中協力発展の可能性を探ってみよう。日本は米国の保護貿易には反対であり、日本政府は自由貿易主義を守るために、二国間の問題として一帯一路に協力することにした。日中間に不安定要素はあるが、中国側の期待は絶大。
1990年代の中国経済発展は自信を得ることになり、アメリカのような国を目指すことが夢に。日本はバブルが崩壊した時で、日本に頼ることなく、公的な傾向として自国で技術開発出来るようになり、日本への関心が薄れていった。しかし、規制のある中国だがSNS上で情報が入手出来、日本文化への関心は高まり、ビジターも多い。個人レベルでは日本へのイメージが良くなってきている。
日本はどうすべきか。①チャンスと捉えて対米関係を保ちつつ中国との関係を良くしていくこと。アジア、世界の平和の発展に貢献出来る。②政治経済体制が異なるから一体化は無理だが、関係をよくしていく為に日中関係をリメイクしていく良いチャンスである。
ここで宇大大学院を受験したばかりの中国からの学生が一帯一路についてプレゼン。
一帯一路とは何か。数十年かけて中国からヨーロッパへのシルクロードに投資を行い、発展途上国のインフラを確立して平和繁栄を期待。しかし、多額の投資をやり過ぎて債務問題が発生し、政治問題になってきていることも指摘。日本は協力に消極的だったが安倍首相が協力を昨年1月12日に表明。日本に対する期待が高まっている。
ここで改めて塾長による一帯一路の解説に。2013年に打ち上げた一帯一路の狙いは①中国の経済圏の構築②TTPに対抗。先進国から締め出されることを懸念。③生産で国内需要に限界。莫大な余剰金を投資して交通網、工場団地などインフラ確立。ところが中国の国家予算で創ったものの運営が全部赤字となっている。そこで日本の発展途上国への援助政策の成功実績から日本への協力要請が。事前調査の重要性を認識。Feasibility Studyの重要性。商業的に成り立つプロジェクトかどうか調査した上でしかお金の貸し出しは行わない。国益中心で中国は金融業が未熟。AIIBは不安。IMFや世界銀行、ADBにたよることは世界経済に問題を及ぼすことになる。
要はひずみが出てきているこの大プロジェクトに日本が事前調査のノウハウで協力することになり、今後日中関係の改善発展が期待されるところである。
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