第88回日光清風塾講話会要旨 「ミヤンマー問題」4月25日
まさに本日第三回の緊急事態宣言が発出されることになった変異株コロナウイルスの猛威が、大阪を発端に日本中に蔓延する勢いである。世界中、特にインドの勢いは凄まじい。一方でミヤンマーに勃発したクーデターは人権を圧迫し、大混乱を引き起こしている。そういう国内外情勢の中、今回はミヤンマー問題を議論することになった。
まずミヤンマーの民主化プロセスの歴史を知る必要がある。
1937年日中戦争の始まり。蒋介石率いる国民党軍との戦い(南京)→重慶政府、イギリスから武器をビルマ経由で輸入。武器を絶つために日本軍はビルマにいるイギリス軍と戦うことになる(惨いインパール作戦)。イギリスは支配下のビルマに武器を持たせようとした。国軍の総指揮者、ミン・アウンサン将軍。ビルマの軍隊は日本軍が作った。今の国軍の根っ子は日本軍。士官学校の最後の卒業生、高原氏がインパール作戦の撤退作戦の責任者、伊藤忠のトップ。1988年、民主化デモ→社会主義政権の崩壊。(ヨーロッパの植民地の国々が多く共産主義国家を建設していたが、外国を警戒して投資が遅れ、国家運営はうまく行かず。)アウンサン・スーチン登場、しかし、15年軟禁。2016年、彼女が率いるNLD選挙で大勝して再び登場。ミヤンマーは大発展していくが、軍(何十年も政権をとってきて経験があり、行政能力がある。)は無視されることに不満。NLDは軍との対話をもっと持つべきだった。→クーデターの原因。選挙は不正であったとの理由で国民軍はクーデターを起こしたが、クーデターの大義名分がはっきりわからない。行政能力を持つ軍の不満が勃発したのではないか。
日本の役割。民主化の存続の働きかけ。軍政の民政への移管の働きかけ。一番の影響力を持つのは日本。ビルマとの関係を大切にしてきている。
1600㎞との国境線を持つ中国の影響を懸念。ビルマ軍(もともと自衛隊によって作られた)は日本人を好む。2,30年の民主化の動きの中で、中国の酷い圧力に警戒してきた。中国はそれを知っているので、ゆっくり持久作戦でビルマに入ってこようとしている。欧米も人権問題に基づいて経済制裁の動きがあるが中国への警戒もある。一方ロシアにもその動きがあるが、これは限界があるだろう。
ポイント・国際法上、内政には干渉出来ないが、国際社会が人道的問題であるとなれば、国際法を超越し、経済制裁を図ることは可能。国連も賛同出来る(例:南アのアパルトヘイト)。オバマ政権はマグニツキー法を設立し法的根拠を作った。EUもおなじようなものを設立。日本も法的根拠を作るべきかどうかである。日本政府は国軍を抑圧すべきではなく、民主化を進めるべきであるとして対策を考えているが、民間人を通じて働きかけるべきではないだろうか。
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