9月8日
第26回日光清風塾塾長講話会のテーマは「アベノミクスと消費税引き上げ」
まず早朝の日本全土を沸き立たせたビッグニュースに言及。2020年のオリンピック開催地が東京に決定したことが、3兆円どころか全体で100兆円以上の経済効果を生むとの予想さえ出ており、日本が元気になるという希望が生まれた。今日の講話テーマを考える上でグッドタイミングとなった。
本題に入る前に、前回の講話会で作動しなかった南京での学生達との合唱の様子のビデオ紹介と補足的に中国の大学生の悩みと希望に言及。学生達の中には、中国は対外的に強がるより、国民が苦しんでいる国内問題の方を解決して欲しいと論文に書いてくる者もいる。また、日本は軍事力があるので、日本とは軍事衝突を避けるべきだという学生もいた。中国人も日本人も本音では交流を望んでいるのだと思う。
会場から提起された問題点を念頭に、アベノミクスの三本の矢の政策をもう一度整理。
①金融政策はマクロ経済を良くするためのデフレ脱却を目指すものであり、日銀が債券や国債を買って毎月7兆円もの円を市場に追加供給し、円安傾向が続いている。その結果、物価は下げ止まり、輸出産業を中心に利益が拡大し始まった。今のところ、今後の経済成長への期待感で株価は上昇してきている。
②財政政策では、積極的に歳出を拡大し、公共事業等を増やして経済を活性化しようとしているが、かえって財政赤字が拡大している。税収が43兆円しかないのに来年度は100兆円以上の予算を組むと言われている。いつまでも大幅な赤字予算を組むことはできない。歳出拡大で、経済成長が軌道に乗れば、歳出を縮小していかざるを得ない。現在すでに1000兆円もの債務残高(借金)があるので、日本政府の財政への不安が高じれば、国債の金利は上昇し、金利支払いだけでも財政運営が苦しくなるだけでなく、国債を売りにくくなり、予算編成も難しくなる。少なくとも国債への信用を落とさないためにも、消費税は予定通り引き上げて、日本政府が財政赤字縮小に努力しようとしているとの姿を金融市場に示さなければならないだろう。
③成長戦略では国内的には規制緩和を進め、自由化を進めて競争を活発化すること。
これまでの日本経済の繁栄は1960年代以貿易経済の自由化を進めてきたからである。それによって新しい競争力のある産業が次から次と生まれてきた。TPPについては農業や医療をどのように守るかとの課題があるが、それに参加することが産業の活性化につながって行くと政府が考えている。これからも日本の産業の競争力を高めるため、技術革新を進めなくてはならない。その為には人材育成、教育が重要。中国が大きく強くなってきたのはまさに人材育成、教育に力を入れてきた結果である。中国の大学生の勉強姿勢には相当なものがある。
北欧の消費税は社会保障への使い道を分かり易く説明した上で、税率を引き上げることに成功。日本は財政赤字対策という理由で税率引き上げが先行するので順序が逆であり、引き上げ反対が出る。8月6日に発表された社会保障制度国民会議の報告書は具体策が乏しい。今後の社会保障についての具体的制度を早く示すことが、消費税引き上げのためにも重要である。いずれにしても、今後の景気見通し等を考慮して安部総理は消費税引き上について決断すると思われるが、引き上げた消費税の使い方に透明性を持たせることが重要である。
0 件のコメント:
コメントを投稿