第53回日光清風塾講話会要旨「ASEAN」 9月25日(日) 14:00~15:15
①
アセアン10か国は日本と中国の間にあって「子はかすがい」的存在となっている。
②
日本と中国が仲良くすることはアジアの繁栄に必要。むしろ、アセアンがアジアの繁栄の為にリーダーシップを取っていると言える。
③
アセアン地域共同体の創設は共同市場を設立した。
○何故、10月17日、18日の「アセアン10か国駐日大使の日光への招聘と交流会」を提言したか。上記のアセアンの重要性を理解し、日光をアセアン10か国のみならず、東アジアの拠点にすることで、地域の活性化と日本の活性化を目指し、ひいてはアジア全体の平和と繁栄に寄与すると考えられるから。
東南アジアは大きくまとめて、インド文明圏(ヒンズー教)。カースト制度のあるヒンズー教に対して革命を起こしたのが仏教。東南アジアの国々の宗教を理解することが文化を理解する上で重要。以下、各国の特徴を捉えながら日本との関係を探ってみよう。
1.
インドネシア:アセアンで一番力を持っている。一番の親日国家。何故?戦争と関係している。対オランダとの独立戦争に残留日本軍が参加日本の武器使用。30年前には旧日本軍人が200人以上いた。日本はインド人を通して間接的に投資。日本が華僑を撃退してくれた。しかし、このインドネシアでさえ、最近は中国に近づいてきている。
2.
ブルネイ:昔は、フィリピンにまで勢力を持った王国だが、今は、ボルネオ島の北西部の一角に位置する小さい絶対王政の国。日本に天然ガスを輸出している。東京の台所の4分の1はブルネイからのガスである。厳しいイスラム教が国教。
3.
マレイシア:現駐日大使は塾長が大使としてブルネイ勤務の時、参事官でマレイシア大使館にいた人。マハティール大統領の時のルックイースト政策のイーストは日本のこと。今や、日本から目をそらして、中国を見ている。「昔の日本人を思い出せ」と言っているよう。
4.
シンガポール:マレイシアでの中国人差別から逃れて、分離独立した国。今や、教育水準もアジアではトップであり、所得も日本の1.6倍。国全体がハブポート。シンガポールと日本の関係は良好。太平洋戦争の時、日本は、シンガポールに駐屯するイギリス兵を攻撃した。
5.
タイ:国民は賢い。植民地化されたことがないが内紛は多い。国王の力は絶対的。
タイも中国に近づきつつある。しかし、反日か、親日かで色分けすべきではない。
6.
ミヤンマー: 信仰心の熱い国民。秋の収穫物を寺に寄進する時が一番幸せな時。パゴダの金は国ではなく、農民が作ったもの。日本の投資が進んでいく所。親日国家。
7.
ラオス:タイの文化圏。言語はタイ語の方言ともいえる。タイ自体は植民地化されたことはないが、タイの一部であったラオスはフランスの植民地であったのでフランス語の影響を受けている。ビエンチャン(首都)は発展しているが地方は貧しく遅れている。共産党支配下。西側は余り投資していないが、中国が投資し始めている。
8.
カンボジャ:現在女性大使。二度目の駐日。自衛隊が最初に平和維持活動をしたところ。中国の援助が増えて来ている。
9.
ベトナム:フランス人が作った街で立派なオペラハウスにその影響の大きさがうかがえる。儒教文化圏。大乗仏教。11世紀のディー王朝から19C まで中国語が支配。フランスが中国語漢字を廃止し、ローマ字化へ。科挙制度がまだ残っている。西洋がアジアの文化を壊し、それから開放してくれたのが日本ということで、親日的。中国との国境問題から対中国戦に勝った。
10.フィリピン:日米戦争の最大の犠牲国。ミンダナオ・ダバオ島のバナナプランテーションは日本が開発。日本はバナナを輸入している。親日的。今の大統領は麻薬撲滅に過激な対策を取っているが、治安対策として効果を上げてきている。
アセアンと言っても、それぞれ国の形も信条も言葉も違う。戦争の影響の下、国造りがなされてきた。その中で親日国家が生まれたが、今や中国の進出が活発化してきている。
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