ページ

2018年6月17日日曜日

第66回日光清風塾講話会 平成30年5月27日


66回講話会 平成30527


まず、二つの資料①1970年代からの米貿易赤字と②1980~今年までの米経常収支の赤字拡大を示すグラフを紹介。貿易だけでなく、お金全体の動きを示す経常収支赤字が拡大していることがアメリカ経済にとっては深刻となっている。

日本の対米輸出で40%を占める自動車の関税がこれまでの2.5%から25%に引き上げられるのは大打撃であるが、アメリカが他の国からの車の輸入も制限しようとしていることも日本の自動車メーカーにとっては大問題である。つまり、日本からアメリカへの日本車の販売ルートは四つある。①直接輸出②カナダ経由③メキシコ経由④米国内での日本車製造。②と③はNAFTA(北米自由貿易協定)によりこれまで関税は0%であるが、これらの国からの日本車の対輸出も大きな影響を受ける。

トランプ大統領の保護貿易政策にアメリカ経済界は反対だと報道されている。しかし、トランプ大統領は経済界だけを見ていない。彼が大統領選に勝った理由は白人失業者の支持があったあらである。WTO(世界貿易機構)とNAFTA(北米自由貿易協定)により失業者が増加。かつて大鉄鋼会社USスチールがあった都市ピッツバーグが廃墟となったのは日本、中国の鉄鋼業の力が原因。

EU(欧州連合)は経済面と政治面での統合を目指してきたが難民受け入れ政策の結果行き詰まりを見せ始めている。グローバリズムの結果先進国がむしろ弱体化してきた。グローバリズムは富裕層と貧困層の格差拡大を生み、貧困層の中からグローバリズムが台頭してきている。アメリカではこの貧困層がトランプ大統領の政策の背景にある。関税が引き上げられればインフレ化し、貧困層に打撃となるため、この政策は簡単には行かないだろうと言われている。

トランプ大統領の保護貿易政策が実施に移されれば、世界経済自体が景気後退を余儀なくされ、日本経済の後退にもつながるが、米国は秋に中間選挙を控え、経済面での成果を示さなければならない局面にある。日米同盟関係にある日本は例外扱いにしてほしいと考えているが、なかなか難しいのではないか。

0 件のコメント:

コメントを投稿