悪天候に見舞われた今年のゴールデンウイークであったが5月5日は予報通りの好天気に恵まれた。昨年の東日本大震災勃発後、東京から活動拠点を被災地石巻に移して地元民の支援活動に渾身の努力を続けている女性がリードする「ぐるぐる応援団」のことが心から離れず、ネット上で彼等の活動をフォローしている内にその活動の様子を実際にこの目で確かめ、触れたく思うようになったことがこの企画のきっかけであった。
往路高速のサービスエーリアで |
昨年は楽しい英会話(通称EECC=Enjoyable English Conversation Club)から心ばかりの義援金を送付させていただいたが、現地を訪ねて頑張っておられる方々に寄り添って見たいという思いにかられていたところ、今回、運よくスケジュールの調整が出来、参加者を募った結果、関係者を含めて最終的に22名が集まった。日光清風塾からも塾長を含めて5名、大学生が2名参加。ありがたいことに同塾理事の手塚久男氏がバスを提供して下さったことがこの企画を可能にした。又、同塾の理事でもありEECCのメンバーでもある千野根貞夫氏の溢れんばかりのボランティア精神が発揮されたのには感動。氏の豊かな機知に富んだアイディアのおかげで、往路は4時間、復路は渋滞に巻き込まれて8時間強かかったにもかかわらず長時間の 道中は最高に楽しいものになった。
一か月前に立ち上げたばかりの 「いしのまキッチン」コミュニティー レストランで |
「ぐるぐる応援団」被災者に立ち上がって貰うために試行錯誤でいろいろな活動を続けてきているが、その中に、市庁舎が入っているビルの一階(震災で被害を受けた)を借り、改装して「いしのまキッチン」という先月オープンしたばかりのコミュニティーレストランがある。今回、私達はこのレストランで食事をして実際そこで働いている人達とふれあうというのが一番の目的であった。そしてリーダーの鹿島美織さんのお話を聞くことであった。更に被災したところを視察し、地元のお土産を買って帰りたいということであった。
厨房で奮闘する女性達 |
それぞれ、思い思いの取り方でお皿を一杯にする。朝が早かったのでみんな空腹だったのだろう。無心に食べる。おかわりに立ち上がって行く人、お茶を入れる人、と次第に雰囲気が静から動にかわり、落ち着いた頃に寄付の贈呈タイムに入る。もう一度「ぐるぐる応援団」を紹介して、鹿島さんにお話をいただく。厨房にいた4人の女性に出ていただき、義援金と物資を受け取っていただく。大変喜んで下さった。大変なご苦労をかかえていらっしゃる筈だが、余りそんな様子も出されず、ひたすら感謝して下さる様子がありがたく、来て良かったと感無量になる。昼食時で一般のお客様が入る時なので、ゆっくり私達だけで時間を独占することは憚れた。その為スタッフの方達とのお話は出来なかったが、最後にはしっかり握手をして寄り添っていることを心でお伝え出来たと思っている。涙ぐんで送って下さったことに胸が熱くなった。
食堂は11時から2時までの3時間がオープン時間となっている。ピークを過ぎたところで鹿島さんは私達のバスに同乗して被災地を案内して下さった。懇切丁寧に南浜地区を中心に、被災の大きかったところを1時間以上割いて案内していただき、まさにSeeing is believing.を体験。門脇小学校の悲惨な姿を身近に見た時は言葉が無かった。今の姿を見ただけでは印象は薄かっただろう。鹿島さんの説明を聞いてその壮絶さが眼前に広がり絶句した。夫が言うように、まさに原爆ドームに類似した残骸であり、忘れ去ることの無いよう、この姿は保存して後世に伝えて行くべきだと思った。火災で黒焦げた校舎からまだ焼け焦げた匂いが漂っているような気がした。校庭に山積みされていただろう瓦礫は片づけられていて本来の校庭の様子であるが、校舎内の瓦礫は一年前の状態のままである。平素は人影も無く、本当に無残で淋しい所となっているとのこと。今日は5月5日の子供の日。県外から沢山の人が子供連れで見学に来ていた。校庭の隅には壊れた水の無いプールもあった。
無残な姿の門脇小学校 |
南浜地区は漁業関係の建物、加工場、倉庫が一杯立ち並んで、石巻の産業を支えていたところだったに違いない。その臭いがあり、半壊、全倒壊した沢山の大きな建造物の残骸の先には一階が貫通してその向こうがシースルーで見える民家も沢山立ち並んでいる。人影は無い。どのように自分たちの家を処分して行くか、手が付けられない状態だという。かつての繁栄していた石巻漁港に人影は無い。屋上に逃げて多くの患者が助かったという石巻市立病院もあった。外見は今でも機能しているように見受けられたが今は閉鎖状態。目途も経っていないようだ。
鹿島さんが強く問題視していることがある。被災者住人の生きる意欲の格差が大きくなってきているということだそうだ。ますます内向的になってふれあいの機会を失って行く人と、とにかく戸外に出て、人にふれあってエネルギーを出していく人との格差である。鹿島さんは内向的になって行く人に手を差しのべ、人とふれあっていって欲しいと願い、コミュニティーバスを走らせ、レストランをふれあう場所にしたいとコミュニティーレストランをオープンした。ふれあって話をし、雇用を作り、生活の原点を作り上げて行って欲しいという思いがとても熱く感じられる。自分たちで立ち上がり、歩み始めるまで、鹿島さんは現地で奮闘し続けていくに違いない。アゲインストの強い風が吹くこともあるだろう。でもフォローの風も小さいのがやがて大きなって一杯吹きつける時が来る筈である。寄り添う心も一つの小さなフォローの風だと思う。大切にしたい。
ありがたい説明のおかげで、私達は現地の具体的な姿を目に焼き付けることが出来た。本当にありがとうございました。
松島にて |
いろいろ思いをめぐらしていてもステップアウトしないことには何も始まらない。マスコミからも注目されつつある「ぐるぐる応援団」の活動に思いを馳せ、時の人にいずれなるに違いない鹿島美織さんにお会いしてお話を是非伺いたいとおもっていたことが今回実現出来た。有意義な体験が出来たことに感謝したい。
平成24年5月6日 記
ツアー企画は大成功だったんだね。お父さん、お母さんの笑顔がいつもより更に輝いているね。素敵なレポートをありがとう。わたしもいつか家族を連れて行ってみたいです。
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