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2012年5月3日木曜日

三毛子 (20)

やれやれ。これで知らない人が来ても、緊張してかまえることも要らない。もっとも毎日のように、二人とも忙しく外出していたので昼間はあの一人で留守番した時とあまりかわらなかったが、夜は一緒だったので、精神的に大違いだった。健康チェックと言っていたが、わたしのチェックは無用らしい。どんなにさびしくても、わたしの精神力は相当強い。食欲に影響するほど憂鬱になることもないので、元気でいられるのだろう。人に影響されない、マイペースが元気のもとなのだろう。

でも今回の一時帰国はありがたかった。短い間でも、そばにいて甘えられるのが本当に幸せだった。おねえさんたちもわたしのことに結構束縛されていたので一息つけたに違いない。息抜きが次の試練に備えていかに大事かということもわかった。二週間ぐらいしておとうさんとおかあさんは又暑い国、ブルネイに向かった。今度はいつになるのだろう。ドアが開いてれば、わたしも一寸旅に出ても良い心境になることもあった。家に閉じ込められたままでは冒険も出来ない。観念して、ひたすら寝る猫人生に徹するしかない。おねえさんやおにいさんがまたローテーションを組んで週末に来てくれると現実に戻り、恐ろしい腹の底から出る様な太い声で「ニャーオ、ニャーオ!」と泣き叫んだ。「可哀想に!」と同情されるとよけい泣きたくなる。

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