何回目になるだろう。これまで同期入省の夫達の伴侶が縁で同期夫人の集いを定期的に始めるようになったのはそれぞれ最後の任地を終えて本帰国になってからだと思う。現役の時は、任地で、あるいは婦人会を通してどこかで接点はあったが次第に居住地が遠くなったり、介護など家庭の事情で活動が余り出来ず、頻繁に会えなくなる一方、同じ職業を共有したよしみの繋がりは大切にしたいとの思いがみんなあるのだと思う。年二回ぐらいはどこかに集まって食事をしながらおしゃべりをという企画になってきた。今日はその日で、私も日光から東京は半蔵門のアルゴという所に行って来た。今回は五月という躍動を始める季節のせいか、都合がつかなくて生憎参加出来なかった人が多く、集まったのは私を入れて8人。でもそれなりに友情を確かめあい、年齢相応の話で3時間、かなり充実した時間が持てた。この年齢になると一言発言しては笑がフォローする。そして、いろいろデジタル化したネット社会をいかに歩き抜けるかのハウツー談義が多くなる。それぞれ自分自身のことに話の矛先を向けるだけで他人の誹謗中傷が無いのが爽やかで楽しい。
解散後、M夫人のお誘いに乗って新国立美術館へ。セザンヌ展を鑑賞。あちこちの美術館で彼の作品は見る機会が多々あったが、今回のはかなり大がかりなコレクションとなっていてセザンヌの生涯を通しての作品が集められていた。エックスプロヴァンスのあのMt.Sait Victoire が生涯を通して彼の心を占めていたことがよく解った。雷に打たれながら瀕死の状態で描き続けた山。絵を描きながら死にたいと言っていたとのこと。又、あれだけ風景画と静物画を徹底的に描きながらも、最終的には人物画が絵画の行き着く所と言ったそう。肖像画を沢山描いていることにも驚いた。農夫の肖像画は素晴らしい。働いた証のあの大きな手が印象的。セザンヌは描く対象の質量をいかに表現するかを追求したのに対してマチスは面の色の美しさを追求したと言われているので、マチスがセザンヌの絵を最初に注目したというのは意外だった。確かに追求の過程で色面を意識した作品もあった。ともあれ、久しぶりにゆっくりと素晴らしい美術展を見られたのは幸運であった。
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