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2012年4月29日日曜日

三毛子 (19)

ブルネイにいるおとうさんやおかあさんはわたしのことを心配していたようで、ことあるごとにわたしの様子を聞いていたようである。ブルネイはイスラム教の国なので犬は受け入れられないけど、猫はとても可愛がるという。マレー語でクーチンというらしい。何だかかわいい言葉に聞こえる。ペルシャ猫という仲間がいるが、階級を意識した猫なのだろう。フンとおすましした格好のいい部族かも知れないが、三毛猫は愛くるしい。茶色と黒と白の三色がわたしの場合、誠にバランスが取れていて良いようである。目はぱっちりと緑色。タキシードを着たように胸元は逆三角形に白い。足は白いソックスをはいたようで、おとうさんが最初に四兄妹の中でわたしだけ三毛だったところに目をつけたのはこの色のバランスの良さで、末永く疲れないということだった。

おとうさんとおかあさんはどうしているだろう。いつわたしのところに戻ってくれるのだろうと時々おもうこともあった。でもわからないことをしめっぽく思い悩むことはやめよう。わたしはわたしのペースで生きていくしかないと自分に言い聞かせるまでに成長していった。

ニューヨークに赴任していた時は無かったことだが、ブルネイの場合、発展途上国に勤務ということで、おとうさんとおかあさんは健康チェックのため一時帰国の機会があった。丁度一年半ぶりに我が家に戻って家族との再会をしてくれた。わたしも家族の一員として「ミーちゃん、一人にしてごめんね。でもよくお留守番できるのね。凄いね!」といいながら、ひざをまげておかあさんが覗き込むように声をかけてくれた。「ニャーオ! 感激!」久しぶりでもちゃんとおとうさんのこともおかあさんのことも覚えている。二人とも全然変わっていない。言葉も洋服も出発の時と同じだったので、わたしも安心した。

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