ページ

2021年4月29日木曜日

2021年3月28日第87回日光清風塾講話会

 第87回講話会 日本の古典「源氏物語」と中国の古典「紅楼夢」

コロナ禍で外出を控える中、以前から気になっていた中国文学の古典「紅楼夢」12巻を読み終えた。日本では江戸の文化文明が盛んな頃の18世紀に書かれた長編小説で古典と言えるかどうかわからないが、古典の名著とされている。ヨーロッパとの文化文明の交流は既にあり、医学などの知識の豊富さ、内容の濃さには圧倒される。「水滸伝」が男社会を描いた武勇伝であるのに対して、「紅楼夢」は宮廷の女社会を描いた恋愛小説で中国版「源氏物語」を思わせる。作者曹雪芹は落ちぶれ貴族で彼の経験に基づいたものと思われる。

思想的には「源氏物語」に似ていて、栄枯盛衰の仏教思想が流れており、無常観が漂う。藤壺への思慕から始まった光源氏が多くの女性との華やかな愛の遍歴の果てに出家したように、「紅楼夢」の主人公紅玉は従妹同士である二人の美人と才媛である黛玉と宝サイを相手に、豊かな環境の中で哲学の禅問答(この知的やり取り、教養の深さには感動する)が繰り広げて行く中で、憔悴し、体力を失い、科挙の試験にトップクラスで合格したにも関わらず、出家して姿を消すのである。どちらの作品も当時の宮廷の内部が推し量れる。究極は仏が生きるように生きていくという思想は似ている。

中国人研究者によると二つの古典について、①「源氏物語」は起伏が少なくて平坦で退屈であり、「紅楼夢」は事件が多く、ワクワク感があり、面白い。一方で「源氏物語」は700年前に書かれている古典文学で、中国は遅れているという評価も。②似ていても時代背景が異なり、「源氏物語」は一夫多妻であり、「紅楼夢」は一夫一婦で妾あり。③「紅楼夢」は18世紀までの恋愛小説の集大成を超えた中国の文化文明が凝縮されている。

 「紅楼夢」は文化文明の終着点なら、「源氏物語」は日本文学の出発点。中国より欧米の研究者が多く、日本の情感、文体がここで作り上げられたと評価。女性をどう扱うかではなく、文学と文化、人間の情感をどう表現するか、情感をいかに美しく描くかを模索して文学が生まれる。谷崎文学、川端文学へと流れていく。

 「紅楼夢」の作者は源氏物語を読んでいない(中国語訳は1980年代)が日本人は明治時代に既に「紅楼夢」を漢文のままで読んでおり、日本語訳が出来たのは1952年。





2021年4月25日(日)第88回日光清風塾講話会

 第88回日光清風塾講話会要旨 「ミヤンマー問題」4月25日

まさに本日第三回の緊急事態宣言が発出されることになった変異株コロナウイルスの猛威が、大阪を発端に日本中に蔓延する勢いである。世界中、特にインドの勢いは凄まじい。一方でミヤンマーに勃発したクーデターは人権を圧迫し、大混乱を引き起こしている。そういう国内外情勢の中、今回はミヤンマー問題を議論することになった。

 


まずミヤンマーの民主化プロセスの歴史を知る必要がある。

 1937年日中戦争の始まり。蒋介石率いる国民党軍との戦い(南京)→重慶政府、イギリスから武器をビルマ経由で輸入。武器を絶つために日本軍はビルマにいるイギリス軍と戦うことになる(惨いインパール作戦)。イギリスは支配下のビルマに武器を持たせようとした。国軍の総指揮者、ミン・アウンサン将軍。ビルマの軍隊は日本軍が作った。今の国軍の根っ子は日本軍。士官学校の最後の卒業生、高原氏がインパール作戦の撤退作戦の責任者、伊藤忠のトップ。1988年、民主化デモ→社会主義政権の崩壊。(ヨーロッパの植民地の国々が多く共産主義国家を建設していたが、外国を警戒して投資が遅れ、国家運営はうまく行かず。)アウンサン・スーチン登場、しかし、15年軟禁。2016年、彼女が率いるNLD選挙で大勝して再び登場。ミヤンマーは大発展していくが、軍(何十年も政権をとってきて経験があり、行政能力がある。)は無視されることに不満。NLDは軍との対話をもっと持つべきだった。→クーデターの原因。選挙は不正であったとの理由で国民軍はクーデターを起こしたが、クーデターの大義名分がはっきりわからない。行政能力を持つ軍の不満が勃発したのではないか。

 日本の役割。民主化の存続の働きかけ。軍政の民政への移管の働きかけ。一番の影響力を持つのは日本。ビルマとの関係を大切にしてきている。

 1600㎞との国境線を持つ中国の影響を懸念。ビルマ軍(もともと自衛隊によって作られた)は日本人を好む。230年の民主化の動きの中で、中国の酷い圧力に警戒してきた。中国はそれを知っているので、ゆっくり持久作戦でビルマに入ってこようとしている。欧米も人権問題に基づいて経済制裁の動きがあるが中国への警戒もある。一方ロシアにもその動きがあるが、これは限界があるだろう。

ポイント・国際法上、内政には干渉出来ないが、国際社会が人道的問題であるとなれば、国際法を超越し、経済制裁を図ることは可能。国連も賛同出来る(例:南アのアパルトヘイト)。オバマ政権はマグニツキー法を設立し法的根拠を作った。EUもおなじようなものを設立。日本も法的根拠を作るべきかどうかである。日本政府は国軍を抑圧すべきではなく、民主化を進めるべきであるとして対策を考えているが、民間人を通じて働きかけるべきではないだろうか。


2021年4月7日水曜日

半年ぶりの家族集合 Family gathering after half a year

 2021年(令和3年)4月3日(土)


 コロナ禍の中、皆我慢して自粛が続いていたが、去る3月21日、2週間の延長の果てに、第二回の一都三県を対象にした緊急事態宣言が解除されたことから、タイミング良く、子供達の春休みも兼ねて三人の子供達家族が日光に押し寄せてきた。第一弾(町田組)は午後2時到着。第二弾(三鷹組)は大洗でのキャンプを経て、蛤、飯蛸、納豆、地元産ビール等持参で3時半頃到着。そして最後に市川組が茨木でサッカー合宿していた小二の息子をピックアップしてから日光入りだったので、4時頃から始めていたBBQも酣の7時半頃到着した。長男はこの一年、テントキャンプにはまっている由で、一式道具も揃え、見事なテントを我が家の庭に張ってくれた。最初は複雑だったようだが、テント張りも板について、半時間で造営し、付属品も便利なものが出来ている。一式あれば、一寸した山小屋のように昼夜を問わず快適な時間を過ごせる。暖房付き、マット、椅子テーブル付き、料理も出来る。今回、息子が飯蛸を使って美味しいアヒージャを作ってくれた。久しぶりの大集合と孫No3の誕生日を祝い乾杯!

 孫達(総勢6人、新中二2人、新小三3人、新小一1人)が羽を伸ばして庭、森を駆け回り、いつもの静寂な環境に子供たちの大賑わいの声が響いたのが嬉しい。我が家のたった1本のソメイヨシノが最高に花開いたタイミングに集合出来て本当にラッキーであった。

 一見健康家族だが、人間は生身である。昨年の12月に定期検査を受けていた長女がその結果を年が明けて2月に知らされ、3年半前の乳がんの影響が肺にあるとのこと。忘れもしない2月22日に彼女からの電話で報告を受けた。嘘!と言いたいところだが、これが現実である。彼女が一昨年秋の行政書士の資格試験に合格し、コロナ禍の中、ネットで研修など受けて、一年後の2月にオフィスを開設する挨拶状を郵送した後、病院に行ってこの結果報告を受けたのである。陽と陰の二つの運命に同時に立ち向かうことになり、彼女の混乱した心情を察して私もつらかった。しかし、時間と言うものは強い。徐々に冷静になり、前向きに受け止めて、今できることをしっかりやることに。今回、家族が全員出会って、みんなの深い愛情と温かい理解のもとに、どんなに励まされたことか。何より、彼女自身がいつもと変わらず、明るく、丁寧なコミュニケーションをしっかり維持し、感謝の心を大事にしている様子に、私自身が教えられっぱなしである。I'm so grateful to our family of their forward-looking and their handling the problem positively. 素晴らしい子供達に成長していることに、夫も感謝しているよう。

 今回は一泊組が市川と三鷹組でそれぞれ、20時間、24時間滞在して帰路に着き、町田組は一緒に温泉にも行き、二泊して無事に帰って行った。

次女が姉に家族写真を用意し、その裏側に書いていた聖句をここに記しておこう。

 主は「わたしの恵みはあなたに十分にある。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」と言われました。だから、キリストの力がわたしの内に宿るように、むしろ大いに喜んでじぶんの弱さを誇りましょう。それゆえ、わたしは弱さ、侮辱、窮乏、迫害、そして行き詰まりの状態にあっても、キリストのために満足しています。なぜなら、わたしは弱い時にこそ強いからです。(コリントへの第2の手紙 12章 9~10節)

 https://church.ne.jp/okiluth/sermons/sufficientgracejap.htm