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2019年6月13日木曜日

6月1日(土)日光キリフリ谷の芸術祭

 今年も6月の一か月間、日光霧降を舞台に、キリフリ谷の芸術祭と称して、あちこちでいろいろなイベント、催し物、展示会などが開催されている。その初日に友人から知らせを受けて、即、持ち前のフットワークで幾何学堂に出かけた。元劇団四季のメンバーさん達が結成した「心魂」の演劇を見るためである。二年前にこの場所に初めて伺った時は演劇は終わった後だったが、独特の重量感があり、開放的な造りの小坂氏ご自身の手によるログハウスが興味深かった。そこには渡辺さんによる織物の大作が広間に飾られて幻想的な雰囲気を醸し出していたことが印象に残っている。建築士の小坂さんからログハウスの眼下に広がる谷間にアクロポリスにあるような半円形劇場を建てる夢のような構想があることを聞いていた。今回も偶然入り口で小坂氏にお会い出来、その話を持ち出したところ、その夢はまだ棄てていませんとのこと。現にその気配を感じる新しいアネックスが幾何学堂の横に繋がっていた。
 舞台と観客が同じフロアで向き合い、元劇団四季のメンバーが演出する出し物はストーリー性は無く、リクエスト音楽で世界を旅するというもの。舞台も含めて50人が入るか入らないぐらいの狭いホールの中で彼らの演技は圧倒する迫力であった。その中で、私にとって初めての経験であったのが、彼らの目指すものが健常者相手の演出ではなく、歌やダンス、演劇を見たくても見に出てこれない難病をかかえたお子様達であったこと。観客から奇声が飛び交い、最初は違和感を覚えた自分が恥ずかしくなった。地元ではなく、多分遠くから、車椅子と一緒に、ご家族に付き添われて、この日のために体調を気にしながら出かけて来たに違いない。舞台の終わりに、団長さんが「心魂」の結成に至ったお話を聞いて、その目に光るものを見て、「良く来たね!良かった良かった!」などという挨拶言葉が最初に耳に入ってきたことがようやく理解出来た。難病を背負った小さな子供達は勿論、そのご家族への愛の深さがこれほど強烈に響いたのは初めてかも知れない。霧降の小さな谷から、こんなに明るく元気に大きな声で、幼いながらも貴い命を励まし、愛を一杯注いでいる主催者に私はすっかり心を打たれた。みんな、一生懸命生きているということを強烈に感じた日となった。

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