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2019年12月11日水曜日

第79回日光清風塾講話会「ノーベル賞と日本人」10月27日


近年は毎年のように日本からノーベル賞受賞者が出ている。これはアメリカに次いで受賞者の数としては世界第二位である。日本に人材が育っている証拠だが、いつまでも続くものではない。人材をどう育てたらよいのか。

 12月10日はアルフレッド・ノーベルの命日。彼の遺言に基づいて世界人類の発展に貢献した人に賞を出すということでノーベル賞は1895年に設立。ノーベルは翌年に亡くなっている。実際にノーベル賞がスタートしたのは1901年で、化学、医学、物理、文学、平和賞の五分野。経済学は後にスエーデンの中央銀行が提案設立し加えられた。当時スエーデンは激動の時代。19Cを通してノルウェーはスエーデンからの独立運動の真只中。ダイナマイトが戦争に使われる懸念もあった。それを恐れたノーベルはノルウェーがまだ独立する前に平和賞をオスロで授与することを発案。(パリ時代にノーベルの秘書、スタッフとして働いていたユダヤ人女性でオーストリア人のズットナー女史がノーベル平和賞設立の意見を出したのではないかともいわれている。彼女はヨーロッパで狂信的に平和活動をしていた人で、第四回目の平和賞を受賞している。)結果的にノルウェーは平和的にスエーデンから独立。ノルウェー人の平和趣向が根付く。平和は人が与えてくれるものではなく、自らが創るものという信念に基づき、PKO平和維持活動では何万人もの犠牲者を出している。

 受賞候補者はどういう経緯で選ばれるかは表には出ない。経済学に関しては日本ではあまり重んじられていない。日本人は金儲けの理論開発趣向ではないからだろ。

 文学賞、平和賞に関して、主観的な判断になるので、公平な賞とは言えないという意見がフロアからも出た。科学の分野は客観的に認められるが、この二つの分野では価値観の相違が相当に左右するから公平にはならないという。平和賞はノルウェーの考え方による。まだ結果が出ないものの世界平和に貢献する期待を持って平和賞を考えている。文学賞を受賞した川端康成の場合、ノーベル賞がそれまでの欧米偏重から脱する意図の上に、ペンクラブ会長だった川端康成がアジア、日本から推薦されたよう。文学賞も社会を変革する思想があるかどうかがポイントなのかもしれない。

ノーベル賞ほど権威ある賞は無い。世界中が注目する賞。日本の場合、湯川秀樹博士が第一号として物理学賞を受賞して以来、今日まで28人が受賞。昨年の受賞者本庄さん、今年度の受賞者吉野さんは二人とも、これからは、日本人は貰えないのではないかと懸念されえいる。つまり、中国の勢いに追い越されると。技術革新の下地となる特許申請数が今は中国が一位。研究の意欲が異なると。彼らはアメリカ追随で富を追求するが、日本の政府は民間の基礎技術開発に熱心。長期的に未来を見据えて投資し、人材育成を図る。目先の開発だけでは人材は育たないのでは。           

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