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2020年2月16日日曜日

「パラサイト 半地下の家族」を見て。2月16日

・第72回カンヌ映画祭最高賞、第92回アカデミー作品賞、アカデミー監督賞、アカデミー国際長編映画賞を獲得して話題となっている映画を夫と宇都宮まで出かけて鑑賞。
・ポン・ジュノ監督の映画は初めて。ブラック・コメディーと評されていることが頷けた。コメディータッチで始まった脚本の展開は確かに、くすくす笑いから次第に意表をつく深刻めいた流れになり、次の流れを予測する隙も無く、息遣いが荒くなるタッチで凄みのある場面が次々と強引に展開。確実にエンターテイメント映画となる。格差社会を恨めしく思うわけではなく、上流社会の中に入り込んで、ドタバタ劇をシニカルとはほど遠いタッチでユーモアを感じさせる見事な演出となる。衝撃的アクションで埋め尽くされるスクリーンは欧米人受けするものなのかもしれない。日本人だったらどうだろう。格差社会を舞台に描くとすると、陰鬱なストーリーになるかもしれない。この映画では、半地下の家族はスマホを駆使し、計画が練れるインテリと見受けられる。どん底の生活環境の中でブレインを使って上流家族の中に入り込む様は見ごたえがあるほど楽しい。その先に起こりそうな計画は未知で(実際、計画は立てられていない)、スピード感のある展開が映画を見る者にゆっくり考える隙を与えず、最後の場面に辿り着いたときに、ふーっと息を吐き、何だか凄いものを見たという気になってしまう。アカデミー賞が求めているものはこういう映画なのかもというのが夫の感想。半地下の家族の青年が最後にシェルターに潜む父親に将来の夢を無線で告げるところで、やっと気持ちが落ち着いた。勉強して、大学を出て、就職して、お金を稼いで、このような屋敷を入手すると。上流社会に立ち向かう計画が練られた場面である。格差社会に歯向かう姿勢がこのような形で終わっていることにホットし、笑いが戻った気がした。

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