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2015年8月1日土曜日

第43回日光清風塾講話会 7月26日開催

「戦後70年、東アジアの平和と繁栄を目指して」講話要旨  H27年7月26日

第43回日光清風塾講話会が7月26日(日)に開催された。南京の大学での講義で不在だった塾長による講話は今年の1月以来。

○戦後70年の節目に、安部総理談話の内容がどのようなものになるのかが内外で注目されている。多くの中国人は日本との交流拡大を望んでいるが、総理談話がどのような内容となるか、またそれを北京の政府がどうとらえるのかを見極めたうえで、次の行動に入って行こうと考えているようだ。○私は、前大戦の反省も重要だが、それも踏まえて、今後「東アジア地域をどのようにして平和で繁栄する地域に育てて行くか」またそのために「日本は何をすべきか」についての将来ビジョンをしっかり持って、そのための行動を起こしていくことこそが重要だと思う。
○今回、南京大学大学院で「東アジア経済統合」について講義出来た事は、今後の日本がどういう方向に行くべきかを考える上で非常に意味があった。また学生達と大いに議論し、楽しい講義でもあった。
南京大学では二つのコースを担当した。一つは正規の大学院生が対象であり、もう一つは企業の幹部クラスを対象にした大学院コース(週末に講義を受けて2年間かけてMBAを取得。いずれも受講生の英語力は相当なもの)。そこでMBAコースでは20年後、また大学院生には30年後の東アジアの将来像をどう考えるか、またそこであなたの事業が最も利益を上げるにはどうしたら良いかという試験問題を出したところ、面白いことにMBAコースの学生の方が楽観的であった。
企業幹部のMBAの学生の何人かは、20年後には東アジアでもEUのような経済統合がなされ
ているだろうと書いていた。私はこれは楽観的すぎる考えだと思うが、事業者である彼らにとっては利益を上げるためにそうあって欲しいと言う希望なのかもしれない。また通過統合が進んでいるとの楽観論もあった。彼らは実際に商売をやっていて東アジアの通貨がバラバラなのに不便を感じているのであろう。これもまた東アジア経済の発展のために通貨統合を進めて欲しいとの希望なのであろうが、中国は今後人民元を中心とした通貨統合への働きかけを強めていくであろうと感じられた。それとも関係があるのか、中国が設立を進めるAIIB(アジアインフラ投資銀行)に日本はどうして参加しないのかとの質問が多く出た。他方、中国と日本が協力すれば世界で何でもできると言う意見もあった。R&D(研究開発)について日本との協力を進めるべきだ、研究は日本でやって製品化は中国でやるべきだとの意見もあった。
○正規の大学院生は日本やアメリカへの対抗心がより強く、30年後の東アジアには中国を中心とする経済圏ができるとの自信を持っているようだ。すでに発効しているASEANとのFTA(自由貿易協定)と今年5月に合意された韓国とのFTAにより東アジアの経済統合が進むだろうと期待しているようだ。日本にも参加して欲しいが、日本なしでも経済統合は進められると見ている。
他方、30年後に東アジアで大きな利益が上げられる事業として、環境対策、高齢化対策、水や食品の安全等々が挙げられたが、特に興味があったのは自分はインフラ建設会社を作って大きな利益を上げられると思う、との意見であった。東南アジア全域高速鉄道や高速道路網を建設して中国との経済の一体化を図りたい、との意見もあった。なるほど、これが中国の今後の長期戦略になるのかもしれない。
このように中国のエリート学生達は、東アジア、特に中国の将来に大きな夢と自信を持っているが、中国経済が発展して行くためには外国との軍事的衝突を避けなければならないと考えている。彼らが強く望んでいるのは中国の平和的発展であり、それしか道はないと考えている。大きな潜在力を持っている東アジア経済の発展の大前提はこの地域の平和が維持されることである。日本としても中国と共にこの地域での戦争回避のシステム作りに努めなければならない。
このようなシステムを作るためにも重要な事は相互信頼を高めることである。そのためには東アジアの人々との交流を拡大することであり、日本が先頭に立って交流のネットワークを作って行くべきだ。交流拡大は観光交流のほか、教育、文化、青年等々おおくの分野で進めるべきだ。
○5月に、栃木県の日中友好協会の人達30名が南京を訪れてくれて、私の大学で合唱の交流会を行った。大盛会であった。学生達は短時間の交流であったにもあかわらず、日本人の質の高さ、親切さに感動していた。今度は日本に行ってこの人たちにもう一度会いたいと手を握りしめている。。

日光市をこのような国際交流の場として発展させるべきだ。日光市を国際文化交流都市として発展させ、東アジア諸国からの観光誘致により、青年交流、文化交流を進めることは日本のためであり、アジアのためでもある。

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