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2015年10月22日木曜日

第44回日光清風塾塾長講話会 9月27日

927()44回清風塾塾長講話会「中国経済の不安と日本」要旨

まず9月中旬に襲った災害は日光市内でもかなりの被害をもたらしたことから早い復興を願い、日光市災害義援金の募金箱を受け付けに設置。

講話会は話しての一方的な講話に終わらないよう、いつものように話し手と聞き手が議論出来るように、まず聞き手からいくつか質問を挙げて貰った。

  中国の通貨・人民元が変動相場制になる可能性は?
  人民元の切り下げは何故突然おこなわれたか。
  南沙諸島の問題は千閣諸島の問題に影響しないか。
  日本のシーレーンとの関係。
  中国の統計の信憑性。本当に中国経済は悪くなっているのか。
  70周年を迎えて軍事費の増大が経済に与えているのではないか?
  ユニクロの中国マーケット拡大策 500店舗→4000店舗 中国国内の中間層をターゲット

今年の夏、中国経済失速の報道があったが、9月の習近平首席の訪米はアメリカと対等に渡り合うことを印象付ける狙いがあった。しかし、アメリカの理解は得られなかった。直前のローマ法王の大歓迎ムードと、おりしも発覚したフォルクスワーゲンの詐欺事件問題が大きな問題となり、習近平首席訪米の影が薄らいだことも事実。

何故経済は失速したか?2008年リーマンブラザーズの破綻が世界経済を不況に導く。アメリカとヨーロッパでのサブプライムローンの大打撃を導いた。その翌年、中国は大規模の経済再生計画を発表(5年間で80兆円)。中国は世界経済不況の波に押されることなく脱出できたが、大規模予算をインフラ整備に使用したため大企業(つまり大部分の国営企業)のみを潤す結果になった。日本の場合は23兆円の補正予算を組むことさえ難しい。
中国の高速鉄道<新幹線)建設が2007年に本格化。今や殆どの地域に張り巡らして世界一の距離となっている状態。不動産関係は投資すれば必ず儲かるという時期になっていたが、2年前からもうからない(不動産が高くなり過ぎた)状態。(して質問に応えて、中国の場合、不動産の所有権は国にあり、使用権のみが国民にある。その使用権を投資して成金が増加した。)不動産が上がり過ぎて景気が悪くなってきたので、2014年中国政府は突然金利の引き下げをして経済を活性化させようとした。そこで不動産から株式に投資する動きになっていった。今度は株の投資へと移行し、株が上がって経済は一見良くなったかのように見えるが実態は異なる。賃金の上昇が続いて(毎年10%以上)商品の高騰化を招き、その打開策として政府は通貨切り下げを行った。結果、株価が下落。株の投資は危険となった。株を売らないように政府関係の銀行をとおして株を支えている状態となっている。
 胡錦濤政権の最後の政策が今頃波及し始めている。ハイレベルの産業化に転換しようとしているが、うまく行かない。今、合(和?)諧社会(みんな仲良し社会を作ろう)をスローガンとしている。
1978年鄧小平の改革路線(日本のような経済が発展した社会を作ろう)。経済の自由化、高度経済成長。金儲け主義が強調され過ぎた。貧富の格差→①社会不安→共産党政権が危うくなる(共産党政権が目指したものではない)②今のような経済を維持するのは良くない。このままでは公害問題が重大化する。命の問題。経済成長率よりも公害問題を重視すべき。経済の質的転換の政治判断。
成長率が低下する中で今の首席のもとで注目すべき現象がある。それは大物の賄賂摘発→地方の幹部の経済活動がしにくくなってきていること。

今の中国で注目すべき経済現象は中国から外国への投資が最近増加してきていること。アメリ
カの国債購入(中国の経常収支の黒字の40%は米の国債)。かつてはアメリカから中国への投資が多かったが今は逆方向、つまり中国からアメリカへの投資が多い。(日本の場合はまだ中国への投資が多い)
中国国内での投資は儲からない→外国投資が利益をあげられる。資本家の心中には中国を元来信用していないところがある。国内での活動は汚職で捕まる可能性を懸念。中国より安全な日本で投資を考える人が増えているのではないか。資本投資が始まっていると考えられる。
  アジアへの投資の増加
  香港への投資→日本への直接投資は増えていないが香港経由で増加
       円安効果、日本の不動産を爆買
日本はいかに対応すべきか。
易い労賃ではなくなってきていることに注目。ユニクロの場合のように別のマーケットを目指したもの。中間層にもっと製品を売ること。貧しい人達の底上げにつながる。中間層を増やす。中間層にどういう製品を開発すべきかというのが日本企業の大きな課題。大型投資の時代ではなく、別のマーケットが出現しつつあるということ。
産業の高度化を図っているがなかなか難しい。国営企業では競争は希薄。民営化して競争の時代に入らないと高度化は難しい。高等教育の高度化が産業の高度化につながる。アメリカを目指す。
アベノミクス第二弾。一番の矢が一億総活躍。教育改革重視。ただ、教育は年数がかかるため政治目標になりにくい。1020年で教育改革は出来る。1020年は思想の変革可能と考える。

中国のマネーを日本がどう活用して経済を活性化するか。ある大学院生の論文から引用。
「中国のお金と日本の頭脳がコラボして製品を生み出し、中国で製品化して世界に売り出す。」

 「中国人は優秀で日本人と根っこは同じ。」という理解のもとに中国人と付き合うべき。
中国の社会、経済は日進月歩でどんどん変わってきていることを理解すべき。中国を批判的に見るだけではなく、相手の力と一緒に経済発展の道を開拓すべきであり、新しいチャンスがそこに見出されるのだと思う。
                                        了
この日の出来事追記

 講話会の後、我が家で少人数が集まって地方創生、地域活性化がいつものテーマで、20代、30代の若い人二人も加わり、いかに行動をおこすかを議論しあいました。評論家が多い中で、アクションを取ることがなかなか難しいのですが、私達地元民がまず日光を好きになり、日光が本当に素晴らしい所だという気持ちを持つことが最優先だと思っています。観光は光を観ること。つまり光り輝くものがあってこそ、人を引き付け、招くのだということ。今晩は若い人と接触して経験豊富な大人が価値観を共有出来ました。ハイテク、ITが進んで、今や人工頭脳が出来上がる時代に突入していますので若者はこれからはIT分野からはむしろ離れて行き、地に足をつけた本来の人間の原点に戻っていくだろうとの若い人の発言には驚き感動しました。古い固定観念は捨てて、発想の転換を若い人から強いられていくことになりそうです。


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